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初心者のためのアイスホッケー解説!

さて、今回は観客もプレイヤーも非常に熱いスポーツのアイスホッケーを紹介します!
【氷上の格闘技】と呼ばれるアイスホッケーは見た目通りアグレッシブなプレーが多く、接触等による危険が高いため、選手には全身に防具を装着してプレーを行うことが義務づけられています。

冬の競技の中では恐らく一番戦闘力が必要なスポーツのアイスホッケー、その内容を紹介します!

そもそもアイスホッケーってどんな種目なの?

まずはこちらの動画をご覧ください。

アイスホッケーは危険さゆえに、全部で10キロの重さのある防具を身につけプレーに臨みます(ゴールキーパーは20kg!)。
楕円形をしたスケートリンク上で行う団体スポーツ競技で、スティックを用いてパックと呼ばれる円柱状の硬質ゴムを打ち合い、相手のゴールに入れることでその得点を競うゲームです。

イメージとしては、相手のゴールにものを多く入れた方が勝ちという視点から、バスケやサッカーなどと似たようなものになります。
(※もちろんルールなどは異なりますが、まずはゲーム像としてのイメージが大切なので、より一般の方に身近なスポーツとしてバスケやサッカーを挙げました。)

その生まれは諸説あり

アイスホッケーの起源については諸説あります。

  1. 16世紀のHendrick Avercamp作の絵画『氷上の光景』ですでに凍った運河の上でホッケーを行なっているので、この頃には原型ができていたという説
  2. 1763年にフランスからカナダ領土を勝ち取ったイギリス人兵士達がフィールドホッケーの経験と、ノヴァスコシアの原住民が行っていた競技、ラクロスを組み合わせてできたという説
  3. スコットランド発祥のシンティが起源という説
  4. アイルランド発祥のハーリングが起源という説
  5. ネイティブアメリカンのチペア族のバゲタウェイが起源という説
  6. イングランドのバンディが起源という説
  7. カナダのシニーが起源という説
  8. リケットが起源という説
  9. アメリカのアイス・ポロが起源という説

他にも起源について諸説は多くありますが、その諸説の出どころが世界中にあるように、多くの国でアイスホッケーを行なっており、ロシアでは国技扱いとなっているようです。

また、1897年にカナダのモントリオールで現在のルールが制定され、冬季オリンピック競技としては、男子は1924年シャモニー大会より実施され、1998年の長野オリンピックよりプロ選手の参加が認められるなど、現在では冬季オリンピックのメイン競技の1つとしてされています。

ルール

ここでは簡易的ににルールを説明します。詳細ルールはwikipediaにあります。

参照記事
アイスホッケー – Wikipedia

アイスホッケーは下記図のような楕円形のリンクスケート全体が競技フィールドとなります。他の競技とフィールドの使い方として大きく異なる点は、ゴールの裏側においてもプレイ可能であり、攻防の重要なエリアとなります。

前述したように、全体のゲーム像としてはバスケやサッカーと似たように相手のゴールにものを多く入れた方が勝ちというようになります。

アイスホッケーを観戦する上で知っておきたいルールやポイントとしては、

  • 1ゴール1点。
  • 試合時間は、ピリオドと呼ばれる20分の単位を計3回行います。
  • 氷上にいるのは6人。 ベンチには22名まで入れる。
  • ゴールキーパーは1人。もしくは0人(6人攻撃)。
  • 選手交代は審判を介さず自由に交代可能。
  • ゴールの後ろも使用可能
  • ペナルティの種類が多くランクが決められている。
  • ペナルティのランクによって、退場時間もしくはその試合は出場できないなどが決まっている

まずは上記を押さえておけば十分かと思います。

【スピード】【パワー】【戦術】、三拍子が揃ったウィンタースポーツで一番アグレッシブなスポーツ

アイスホッケーは目にも留まらぬ速さでパックを操り、フィールド全体で素早い試合が繰り広げられます。ゴールを決める為に素早いパスでゴール手前までパックを繋ぎ、速い選手だと
時速150kmでゴールを打つ為、そもそも打たせまいと敵選手が
ボディチェックと呼ばれる体当たりなどをしてそれを阻止します。(ボディチェックは男子のみ。女子は禁止となっています。)

すると必然的に激しい試合になり、見ている方も激しさゆえに怪我をしないかヒヤヒヤします。リンクと観客席の間には透明の仕切り(プレクシグラス)がありますが、たまに選手が激しく叩きつけられることで割れてしまうことがあります。(ただし、素材はアクリル樹脂でガラスではないので選手が怪我をする可能性は低い様です。)

また、選手たちもそのプレースタイルから疲労がすぐに溜まってしまいますが、審判に選手交代を告げる必要がない為、大体1分単位で勝手に選手交代していきます。

素早い試合展開の中にも戦術があり、基本的な戦術は下記の通りです。

  • ブレイクアウト:自分のゴール裏からパックを前に進めて、相手ゾーンへ向かっていく
  • フォアチェック:相手陣に選手を送り込んでブレイクアウトを阻止しょうとする、バスケで言えばゾーンプレスのようなもの
  • セットプレイ : 相手ゾーンの攻撃中に相手の守りを崩すために選手の動きやパスをまわしていく

この様にアイスホッケーは【スピード】【パワー】【戦術】、三拍子の揃った非常に見応えのあるスポーツの1つです。

【氷上の格闘技】と呼ばれる所以【ファイティング】

さて、ここでアイスホッケーを面白くしているポイントを1つ。
【氷上の格闘技】という名が付いていますが、実は暗黙のルールとしてアイスホッケーでは選手同士の殴り合いを許容している部分があります。

こちらの動画をご覧ください。

思わずこう思うはず。

「ガチの殴り合いやん!」

そうです。これはガチの殴り合いなのです。しかも近くではまるでボクシングのレフェリーのように審判がただ見ているだけです。

初めて見る方は驚くかと思われますが、これはファイティングと呼ばれ、ルール上には記載されていない、いわば暗黙のルールで下記の内容を守れば許容はしますよ。というものです。

  • スティックやグローブを全て捨てて、素手で戦う
  • チームメイトは手助けをしないで、1対1で戦う
  • どちらかの選手が倒れたら、それ以上は続けない
  • 上記3つに従った乱闘であれば5分間の退場だけで済み、その後は再びプレーをすることが許さる

殴り合うにも訳がある

ただし、選手たちはただ感情的に殴り合っているわけではなく、下記引用文のような理由から殴り合いをしていると言われています。

ファイティングの役割の一つは、チームの勢いづけです。例えば、「ここから気合いを入れなおすぞ」というスイッチの一つとして活用されることがあります。殴り合いに勝てばモチベーションが上がりますし、負ければ「かたき討ち」としてチームが奮起します。観客としてもファイティングが見られればエキサイトし、会場全体のボルテージも一気に上がります。ファイティングは、チーム内の雰囲気と会場の雰囲気を一気に変えることができるのです。

仮に他のスポーツでファイティングが採用されれば、「いつファイティングを行なうか」という戦略的な議論が深まるに違いありません。ファイティングはアイスホッケーにおいて他のスポーツにない面白い側面を担っているのです。実際、ファイティング専門の充実したWebメディアがあるほど。ファイティングにはもちろん勝てたほうがいいですが、負けても効果があり、モチベーションコントロールに優位に働くように戦略的に行なわれます。

もう一つの大きな役割をあげるなら、「スター選手を守ること」でしょう。各チームには、戦況を大きく変えるスター選手が存在します。彼らに簡単にプレーさせないことが相手チームの第一に考える事であり、荒いボディコンタクトで戦意を喪失させたり、苛立ちを誘うプレーで精細を欠かせたりします。

そういった相手の工作に対しても、ファイティングで対応するのです。スター選手はチームの象徴であり、ファンにも人気があります。スター選手に何かしようものならファイティング要員を派遣し、因縁のプレーヤーとファイトさせます。スターに手を出したらこうなるぞ!とみせしめることで、逆に相手の意欲をそぎ、スターが働きやすいよう試合の展開を持っていきます。

現在はファイティングを禁止にする流れに

そうはいってもやはり、行なっていることは完全な殴り合いです。審判もどちらかの選手が倒れるまでは口出しをしませんので、観客としてはボクシングを見ているようで見世物としては面白いのかもしれません。

しかし、ファイティングがアイスホッケーの魅力の1つであっても、ファイティング単体の魅力がアイスホッケーの魅力を超えてしまっては、それはアイスホッケーとして成り立たないことかと思います。

つまり本来は、

【アイスホッケーの魅力 > ファイティングの魅力】

であるべきものが、現在は

【アイスホッケーの魅力 < ファイティングの魅力】

のようになってしまっているという事です。

実は、現在はファイティングを禁止する流れになっています。
理由としては、上の式の様にファイティングの魅力がアイスホッケーの魅力を超えてしまうことがあり、戦術的ではなく興行的に殴り合いをさせられる事が増えてきてしまったからの様です。

ファイティングを扱う選手をエンフォーサーと言いますが、エンフォーサーを取り扱った映画が出るなどフィールド外でもその人気は高く、アイスホッケーの人気を上げてくれた理由の1つではあります。

しかし、ファイティング専員として駆り出される過酷さから自殺をしてしまう選手まで出てしまうこともある様です。

こうした理由から現在はファイティングを禁止する流れになっています。

平昌オリンピックでの優勝候補国

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男子アイスホッケー

現在(2018年1月時点)の世界ランキングは下記の通りです。

  • 第1位 : カナダ
  • 第2位 : ロシア
  • 第3位 : スウェーデン
  • 第4位 : フィンランド
  • 第5位 : アメリカ

バンクーバーオリンピック、ソチオリンピックを連覇し、2017年の世界ランキングでも1位の
カナダが優勝候補といって間違い無いでしょう。しかし、直近2017年11月にフィンランドで行われたオリンピック前哨戦では4位に沈んでいます。

とはいえ、スポーツの世界では実力のある選手、チームは大舞台に合わせてしっかり調整し、結果を出してきます。
勝って当たり前と言われる中で、しっかり勝ち切るという王者の難しさは付きものですが、カナダは上手く調整をしてくるとこができるのか見物です。

女子アイスホッケー

現在(2018年1月時点)の世界ランキングは下記の通りです。

  • 第1位 : アメリカ
  • 第2位 : カナダ
  • 第3位 : フィンランド
  • 第4位 : ロシア
  • 第5位 : スウェーデン

女子アイスホッケーは1998年長野オリンピックから正式採用され、初代王者はアメリカ、その後はカナダが現在にまでオリンピック連覇をしており、平昌オリンピックで優勝すると5連覇ということになります。
大舞台で強い世界ランキング第2位カナダと、現時点での世界ランキング第1位のアメリカが優勝候補となります。

シーズンを通して試合で結果を出すことで世界ランキングを決定するポイントが加算されていますが、

【世界ランキングで第1位 = 試合で結果を出し続けている = いま勢いに乗っている】

ということになります。

恐らく、平昌オリンピックの決勝の舞台もカナダvsアメリカになるのではないかと予想されていますが、事実、世界選手権やオリンピックなどタイトル戦の決勝戦はカナダvsアメリカがほとんどです。きっと選手同士も顔を合わせたら「どこの宿舎に泊まってるの?終わったら飲みに行きましょ!」と言葉を交わしていることでしょう。

大舞台に強い世界ランキング第2位のカナダvs世界ランキング第1位の勢いに乗っているアメリカ

どちらが勝ってもおかしくなく、スポーツとしてこれ以上ないほど期待値の高まる状況が予想されます。

あとがき

以上、初心者のためのアイスホッケーの解説でした。
今回は初心者向けの記事で情報過多で混乱を避けるため、細かいルールやペナルティ情報などは省略しました。詳しくルールなどはwikipediaに記載がありますので、ぜひ一読することをおすすめします。

ウィンタースポーツにおいては一番アグレッシブなスポーツであるアイスホッケー。日本ではドラマなどで一時的に人気に火がつくことがありますが、その人気は長くは続きません。

この記事で基本を押さえて平昌オリンピックを観戦すればファンになること間違いなし!日本でもメジャースポーツになるべきアイスホッケー、ぜひ皆さんで応援しましょう!