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初心者のためのアルペンスキー解説!

冬季オリンピックの花形種目【アルペンスキー】を解説します。
北欧の国々では国技として認められており、オリンピックなどの世界戦で勝つと英雄扱いされます。

世界戦ではいまだ日本人優勝者がいないため、日本国内ではアルペンスキーの人気はくすぶっている状態ですが、アイスホッケー同様優勝などの起爆剤があれば国内でも一気に人気の出る種目の一つと思います。

アルペンスキーとはそもそもどんな競技なの?

採点競技とは異なり、素人から見ても非常に勝敗の分かりやすい競技です。

スタートからゴールまでの間に立っているポールと呼ばれる旗を通過し、いかに早く下まで滑りきるかという競技です。

あまり見たことのない人にとっては、ポールに当たる姿が痛々しく見えたり、そもそもなぜ当たるのかが分からないという方もいるようです。

実際に競技を行っていたスノーハウス筆者の感覚からすると、ポールはプラスチック状の素材で出来ているため、見る分には痛そうには見えますが、実際に滑っている最中はあまり気になりません。

家に帰り、お風呂に入る際に身体中にアザがあることに気付く程度です。

しかし、回転と呼ばれる種目においては顔面にポールが当たることがあり、顔面を保護するチンガードをヘルメットに付けていないと、ゴールした頃には顔面血だらけになっていることもあります。
このときは流石に滑っているときも涙目です。

また、そもそもポールに当たる理由については、選手たちはポールに当たりたくて当たっているわけではなく、コースの最短距離を通るにはポールの近くを通る必要があります。そして、近くを通るにはどうしてもポールに当たってしまいます。これがポールに当たっている理由となります。

良く見ると、回転競技以外は選手たちはポールを避けるように当たっています。当たり方も気を付けないと旗に腕が引っ掛かり転倒してしまうことがあるためです。

アルペンスキーの歴史は?

アルペンスキーは19世紀初めにノルディックスキーから派生したもので、時には歩いて雪道を登り、時には滑走して雪道を滑り降りるノルディックスキーに対して、ビンディングにかかとを固定し滑走することに特化したものがアルペンスキーとなります。

当初のアルペンスキーはスキー滑降技術を示すもので、現在のように旗門を通過しタイムを競い合うものではありませんでした。

1905年の「ムツケンコーゲル大会」で初めて旗門を使用した大会が開催されましたが、これが現在のアルペンスキーの原点となるようです。

アルペンスキーのルールの改善やそれに伴った板の性能改善、またその逆は現在でも行われており、その技術の進化に付いていくことのできる選手が真のアルペンスキーヤーの強者とされます。

アルペンスキーのルール紹介

基本的なルール

図のようにスタートからゴールまで、旗(もしくはポール)が立っており、いかに早く下まで滑り降りる事ができるかという事が基本的なルールになります。

1試合2本滑り、2本の合計タイムで勝敗を決めます。

旗門の外側を追加したりすると、コースアウトで失格となります。
ただし、転倒などでコースアウトしてしまっても本来通るべきであった旗門の上まで登り、再度滑走し通過する事で再度競技を再開する事ができます。

基本的な種目は全部で4つ

  • 滑降(ダウンヒル)
  • スーパー大回転(スーパーG)
  • 大回転(ジャイアントスラローム)
  • 回転(スラローム)

この内、

  • 滑降(ダウンヒル)
  • スーパー大回転(スーパーG)

は高速系、

  • 大回転(ジャイアントスラローム)
  • 回転(スラローム)

は技術系と呼ばれています。

Ted
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大回転がアルペン競技の一番の基本とされ、この種目で早い選手は他の競技でも結果を出せるポテンシャルを持っていると言われています。

しかし、選手たちは大体技術系か高速系に分かれ、全種目を出場する選手はあまり多くはありません。

スタートしてから一瞬で失格になってしまうことも

回転競技以外はポールには旗がついているので、視覚的にも分かりやすいのですが、回転競技はポールが立っているだけで、初めて見る方からすると何がなんだか分からないかと思います。

しかし、よく見てみるとスラロームもポールが2本1組で、選手たちは2本の間を通過しています。

面白いことに、アルペン選手でも中学生、高校生でも次のポールを間違えてしまうことがあります。

もちろん、その場合はコースアウトで失格となります。

また、コースの最短距離を通るため、あまりにポールの近くを通ると、2本の板の間にポールが入りポールをまたいでしまうことがあります。

もちろん、この場合も片方の足がコースを通っていないので失格となります。通称片足反則で片反(かたはん)と呼ばれます。

ワールドカップ選手でもこの片反は攻めすぎるあまり頻繁に起こります。早ければスタートした直後の1旗門目で片反をしてしっかくする選手も珍しくはありません。

攻めの気持ちが強いとこのような事が起こる事があります。
全ターンで上手く気持ちと体の動きをリンクさせる事が求められ、精神的にも非常にデリケートな競技です。

アルペンスキーは怖くないの?

Ted
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よく聞かれる質問ですが、アルペンスキーをやっている人は普段からスピードに慣れているので、一般の方が恐怖を感じるほどの速度が出ていても、特に何も思いません。

今日は良い天気だなぁとか、雪が顔に当たって痛すぎるとかそう言うことを思っています。

もちろん、上昇意識の高い選手は一本一本を大事にし、体の使い方や板の扱い方に意識が向いています。

つまり、スピードは特に意識上に上がってこないことになります。

さらに面白いことに、スーパーGやダウンヒルなどの種目では時速100-140kmも出ることがあるのですが、こういったアルペンスキーの中でも高速系と呼ばれる種目で上位に入る選手たちは、揃って楽しかった!と言える人たちです。

つまり恐怖をも楽しめてしまう人たちなのです。

平昌オリンピックの注目選手

男子

マルセル・ヒルシャー

スキー王国オーストリアの絶対的エース。
オーストリアにはどの時代もヘルマン・マイヤー、ベンジャミン・ライヒなど世界的絶対王者をコンスタントに世界に送り出してきます。今の時代はそれがマルセル・ヒルシャーということです。

彼はワールドカップ通算51勝しており、歴代単独3位の選手です。偉大な先輩のヘルマン・マイヤーの54勝までのこり3勝となります。

女子

ミカエラ・シフリン

アメリカ代表。前回ソチオリンピック回転優勝。
技術系種目を得意とし、ワールドカップ(W杯)回転の種目別は過去に4度制しました。昨季は大回転でも2位に入り、初めて総合優勝。今季W杯では回転で5連勝中と波に乗っており、平昌オリンピックでは2大会連続金メダルの期待がかかっています。

あとがき

以上、花形競技のアルペンスキーの紹介でした。
アルペンスキーは特に回転、大回転の技術系の種目が盛り上がります。
日本代表選手としては、湯浅直樹選手、石井智也選手、石川晴菜選手、安藤麻選手が出場します。
スノーハウス筆者も石井智也選手は同じ年の選手として、全中、インターハイ、全日本などで見てきて思い入れがあるので、一番応援したいと思います。