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FISレーサー転戦記(プロローグ)

アルペンレーサーとして世界中のFISレースなどを転戦した筆者が、自身の経験談も合わせて大会の世界を解説。
そもそもFISレースとは?また、アルペンスキーにおけるオリンピック、ワールドカップの位置付け。
そして世界の頂点にたどり着くまでに達成するべきステージは?
近年まで日本の第一線で活躍していた筆者直筆の転戦記シリーズ第一弾!

アルペンレーサーの基準の1つとして、FISレーサーであるかどうか、というものがある。

なぜ、それが基準になるのか。
それは、FISレースが、世界に繋がるレースの入り口であるからである。

世界に繋がる。
その、「世界」とは何を指すのか。
ここでは「ワールドカップ」のことを指す。

ワールドカップへのミラミッド構造

FIS(国際スキー連盟)が主催するアルペンスキーワールドカップは、毎年ヨーロッパを中心とした世界各地で行われている。

これが、アルペンスキー最高峰のレースカテゴリーである。
すなわちこれが「世界」である。

ワールドカップに出場し、シーズンで最も多くのワールドカップポイントを獲得したアルペンレーサーが世界チャンピオンである。
ひいてはワールドカップポイントの獲得が世界一の条件になる。

さて、どうすればそのワールドカップポイントに辿り着けるのだろうか。

その入り口が、FISポイントだ。

ワールドカップで獲得出来るポイントは二種類ある。
1つはワールドカップポイント。
もう1つが、FISポイントだ。

FISポイントは、ワールドカップでも、FISレースでも獲得することが出来る。
FISレースは、今日では日本国内でも50を越える数が行われている。
そう、FISポイントならば、ワールドカップレーサーと同じ土俵に立てるのだ。

さて、FISポイントとは、何なのだろうか。

ワールドカップで優勝して獲得することが出来るFISポイントは、0.00である。
つまり、少ない方が良いのだ。
これは、世界一との差を表すポイントなのである。

世界ランク1位は0.00。
世界ランク30位がおおよそ6.00。
世界ランク60位がおおよそ8.00。

日本最速の湯浅直樹選手のスラロームポイントは、5.55で、世界ランク19位である。(※2017/9/19現在)
ちなみに、日本のトップテンに入るには20点以下のFISポイントが目安になる。

さて、長くなってしまったが、アルペンレーサーとして、このFISレースに挑むのは必然になってくる。
まずは、どうやったら出場出来るのか。
流れとしては下記4つのステップを踏むことになる。

①16歳以上であること

FISレースには年齢制限がある。
上限は無いが、下限は16歳。
それより下の年齢の選手はチルドレンレースに参戦することとなる。

②FIS・SAJ選手登録を行っていること

FIS(国際スキー連盟)の選手登録を行っておこう。
それには、自国のスキー連盟への登録が前提とされているので、SAJ(全日本スキー連盟)の選手登録も同時に行うこととなる。
自分の所属先がが加入している都道府県スキー連盟に、登録を申請しよう。

参照記事
競技者登録とは

③レースにエントリーをすること

選手登録をした、都道府県スキー連盟に、出場したいレースのエントリーを申し込もう。
出場枠や、出場権利など色々なルールがあるが、それはここでは割愛する。
エントリーが完了したら、日程を合わせて前日までにレース会場に向かおう。

④キャプテンミーティング

レース前日にキャプテンミーティングが行われる。
ここで、エントリーの確認、レースの説明、タイムスケジュールの確認、そしてゼッケンの配布が行われる。
まずはエントリー確認で出場の意思表示をし、ミーティングで各種確認事項をチェックしよう。
そして、出場者の証であるゼッケンを持ち帰り、いよいよレースへと向かうのだ。

FISレースの転戦記を書く前に、まずそのレースの意味合いと、出場までの段階を説明させてもらった。
こうして、レースへと臨んでいくわけだが、レースの実際はどんなものなのか。

全国各地のFISレース会場はどんなところなのか。
コースは?地域特性は?出場メンバーは?

また、どれぐらいのFISポイントが獲得できるのか。