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初心者のためのスキージャンプ解説!

遠くへ、そして綺麗に飛び、着地をすることを求められる競技【スキージャンプ】。
Snowhaus筆者が初めてスキージャンプを見たのは中学生の頃に白馬で行われたW杯の手伝いでした。
初めて生で見たときのスキージャンプは、スタートを切り、滑走する板の音がジャンプの飛び出しと同時に消え、そして数秒の無音の後にズバンっと着地音が聞こえる独特の音の流れが印象的でした。

今回は1998年長野オリンピックでも日本が優勝したスキージャンプを紹介したいと思います。

そもそもスキージャンプってどんな競技なの?

Maciej
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一般の人からするとあまり身近なスポーツではないけれども、冬季オリンピックが開催された瞬間に急に身近に感じるスポーツです。

1994年のリレハンメルオリンピックで日の丸飛行隊がすでに銀メダルを取っていましたが、1998年の地元開催長野オリンピックで団体金メダルをとった事で一躍有名になりました。

長野県白馬北小学校には学校横に小さなジャンプ台があり、雪国の中でも限られた場所では小学校の頃からスキージャンプというものに触れているようです。

日本代表選手として有名なのは葛西紀明(かさいのりあき)選手です。
葛西選手は1992年にフランスで行われたアルベールビルオリンピックから平昌オリンピックまで8大会連続でオリンピックに出場し、さらに成績を残し続けているレジェンドです。

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風を読み、数秒で勝敗を決するため、非常に高い集中力を求められるこの競技は、体力だけではなく経験も必要な競技でベテラン勢も長く成績を残し続ける事のできる競技となります。

スキージャンプの歴史は?

その生まれはノルウェーの処刑方法だった!

スキージャンプは、恐怖心を伴うので、重罪人がジャンプして上手く立つことができれば刑を軽減する。

なぜかスキージャンプの発祥説において、この説は日本では有名になってしまっている俗説です。
しかし、世界中が認めるスキージャンプの発祥の地ノルウェーで処罰説を聞いてもだれも知らないそうです。

その生まれは遊びから!

アイスホッケーのように多くの発祥諸説があるわけではなく、以下が正しい説とされています。

スキージャンプは、1840年ごろノルウェイのテレマーク地方が発祥の地だそうです。
★ノルディツクスキー(アルペンスキーと違いブーツの踵を固定しないため自由に歩き回りやすい。但し、滑ってターンをするには、テレマークターンという独特のフォームがある。)
このスキーで遊んでいるうちに自然発生的に競技となったという「説」があります。

その名残として、ジャンプの着地時にテレマーク姿勢(膝から下を前後に開く・後ろの足はつま先立ち)を取る事が、ポイントとして残っています。

遠くからでもわかる。スキージャンプの存在感

Maciej
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現在日本国内では12箇所にジャンプ台がありますが、巨大さゆえに遠くからでもその姿は圧倒的な存在感を放っています。初めて見る人にとっては見た瞬間に若干テンションが上がるようです。

ルール

スキージャンプはポイント競技

Maciej
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スキージャンプは見た目で分かりやすいただ遠くへ飛ぶだけの競技ではなく、飛んでいるときの姿勢、着地時の姿勢の美しさが求められます。

これを正式な競技の中で使われる名称で言うと、

  • 遠くへ飛ぶ → 飛距離点
  • 飛んでるときの姿勢、着地時の姿勢 → 飛型点(ひけいてん)

となります。
意外なポイントとしては【何メートル飛んだか】ということもポイント化されるということです。
つまり、競技の勝敗を決めるのは、

飛距離点 + 飛型点

の合計点となります。

また、風の影響を受けやすい競技であるため、天候が不安定な中で開催されるときは、飛ぶタイミングによっては選手に不公平な条件となってしまいます。

そこで、国際スキー連盟のFISでは2011年のシーズンより採点に【ウインドファクター】【ゲートファクター】の2つの採点方式を導入しました。

  • ウインドファクター : 風の影響をポイント化したもの
  • ゲートファクター : スタートゲート(スタート位置)の高さ

簡単に説明をすると、風の影響を受けやすい競技であるので、風を影響を選手間で無くしましょう。また、スタート位置が高い方が当然遠くへ飛ぶことができるので、そのスタート位置の選手間の差もなくしましょうという事です。

つまり、改めて競技の勝敗を決めるものを説明すると、

飛距離点(どれだけ遠くへ飛んだか)

飛型点(どれだけ綺麗に飛び、着地をしたか)

ウインドファクター(風の影響はどれくらいあったか)

ゲートファクター(スタート位置の高さ)

ということになります。
また、スキージャンプは1試合2本滑るので、2本の合計点数を足したものが最終な順位を決定付けます。

実況「K点超え!!!!」視聴者(心)「…K点て何?」

実況の方が「K点を超えてきた!」とよく口にしますが、ではK点とは何なのかという事を紹介したいと思います。

K点 = 60点

前述したようにジャンプ競技はポイント競技です。
K点を飛距離点の60点とし、K点前後での着陸に応じてポイントを加点または減点されます。

画像引用元
ジャンプ ルール : スキー | J SPORTS

K点とは別名【ランディングエリア限界点】と呼ばれており、
このラインを超えての着地は危険だよというラインでした。しかし、トリノオリンピックからはK点の意味合いが代わり、現在は基準の60点という意味となりました。

では、現在におけるこのラインを超えての着地は危険だよというランディングエリア限界点はどこかというと、L点と呼ばれるラインです。

ジャンプ台の種類

スキージャンプのジャンプ台の種類は5つ存在します。

名称 長さ
スモールヒル 20~44m
ミディアムヒル 50~84m
ノーマルヒル 85~109m
ラージヒル 110~184m
フライングヒル 185m~

日本国内ではフライングヒルは存在せず、主にW杯などの世界規模の大会でフライングヒルが使用されます。

ただし、世界大会でもオリンピックはノーマルヒルとラージヒルが使用されます。理由としては、

  1. フライングヒルを持っている国が少ないこと
  2. 建設費がかさむわりにはオリンピック後の使用頻度が少ないこと

の2つが挙げられます。
長野オリンピックで建設されたジャンプ台はノーマルヒル、ラージヒル合わせて建設費82億円がかかったようです。

スタートのタイミング

Maciej
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実は選手は自分たちのタイミングでスタートを切れるというわけではありません。
競技運営員会の方で3つの信号(赤・黄・青)の使い、競技を進行させています。

  • 赤信号 : 準備状態。選手はスタート位置に入る事ができない。
  • 黄信号 : 選手はスタート位置に行き、ポジションを取る事が許される。
  • 青信号 : 青色に切り替わってから10秒以内にスタートを切る。

通常は黄信号になってから10~45秒程度で青信号に変わります。
平昌オリンピックでは深夜にノーマルヒル男子が開催されましたが、風が安定しない環境の中、何度も赤信号と黄信号が切り替わり、選手たちはスタート位置に入ったり外れたりを繰り返していました。

加美幸伸さん(@yukinobukami)がシェアした投稿

シモン・アマン選手。
風の影響でスタートがきれず、極寒の中長い間待機させられました。

あとがき

以上、初心者のためのスキージャンプの解説でした。
今回は初心者向けの記事で情報過多で混乱を避けるため、細かいルールや採点基準などは省略しました。日本でも有力な競技の一つのため、詳しくルールなどを解説してくれているサイトが多くあるので、より詳しく知りたいという方は調べてみると良いかも知れません。

日本のメダル取得候補でもあるスキージャンプ!
レジェンド葛西選手が得意とするラージヒルも16日から始まりますので、ぜひ、基本を抑えてみんなで葛西選手、並びに日本代表選手を応援しましょう!