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初心者のためのスロープスタイル解説!

初心者のためのスロープスタイル解説!
2014年ソチオリンピックよりスノーボード、スキーともに新種目に採用されたスロープスタイル。
4年前に採用されて世に知れ渡ったこの種目について、まだあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は平昌オリンピックでも行われるこの種目について、初心者の方でもわかるように解説し、平昌オリンピックを倍以上に楽しめるようにしたいと思います。

そもそもスロープスタイルってどんな種目なの?

最近知人たちと居酒屋で平昌オリンピックについての話をしている時、スロープスタイルについて話が出ました。しかし、中には「すろ〜ぷすたいる?なにロープ(縄)でも使って何かするの??」というように、そもそもスロープスタイルが何かすら知らない人もいました。

スロープスタイルは1990年代にアメリカで生まれたスポーツ

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まず、スロープスタイルというものが何かというと、スキー・スノーボードで滑走しながらコース場に配置されたキッカーと呼ばれるジャンプ台やジブアイテムなどでアクロバティックな技を行い、演技ポイントを競い合う種目です。

その歴史は比較的浅く、1990年代にアメリカで生まれました。そして1997年に開催されたX GAMES(エックスゲームズ)でスロープスタイルは採用され、その競技名が世界へと一気に広まりました。

ちなみにX GAMESとはその道の猛者たちが世界最高の技を競い合う大会で、Snowhaus友人のフリースタイル選手曰く「オリンピックで優勝するよりもX GAMESで優勝する方が全然凄い」というほど。
(※ただし、これはこの選手の個人の感想ですが、感覚としてオリンピックに出場する選手は超高難易度の技を決める選手ではなく、比較的難易度の高い技を確実に決めることのできる安定した選手が多い気がします。)

とはいえ、この業界では知らない人はいない絶対王者のショーンホワイト選手もしっかりとオリンピックに出場しており、そのタイトルを手にしています。

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ショーンホワイト選手はソチオリンピックではハーフパイプでの出場でしたが、スロープスタイルに大きな影響を与え続けて来ました。
メディアではハープパイプの選手とばかり紹介されますが、彼のX GAMESでのスロープスタイル成績は下記となります。

ショーンホワイトのX GAMESスロープスタイル成績

  • 2002年 Winter X Games 6 Slopestyle 2位
  • 2003年 Winter X Games 7 Slopestyle 優勝
  • 2004年 Winter X Games 8 Slopestyle 優勝
  • 2005年 Winter X Games 9 Slopestyle 優勝
  • 2006年 Winter X Games 10 Slopestyle 優勝
  • 2007年 Winter X Games 11 Slopestyle 3位
  • 2008年 Winter X Games 12 Slopestyle 3位
  • 2009年 Winter X Games 13 Slopestyle 優勝

※他にもハーフパイプやSummer X GAMESのスケボーを入れると、倍以上の優勝もしくは上位入賞を果たしています。

ショーンホワイト Winter X Games

スロープスタイルはスキー・スノーボードの採点競技

スロープスタイルはもっぱら採点競技のためモーグルのようにタイムは測定せず、スタートからゴールにたどり着くまでの【技の難易度】【着地の綺麗さ】【独創性】【全体の流れ】の観点から採点されます。

世界的にパーク愛好家(ざっくり説明するとスキー場内にあるジャンプ台などが集まった場所)が多く、それだけに年々技の難易度が上がっています。過去に優勝した技が通用しなくなる事もあります。

服装については特に規定はないため、選手それぞれのオシャレを見ることも楽しみの1つとなっています。

ルール・採点方法

  • 予選、決勝2本ずつ滑り、2本中良い方の得点を採用して全体の順位を決めます。
  • 【技の難易度】【着地の綺麗さ】【独創性】【全体の流れ】の観点から採点を行います。
  • 最近の主流はビデオジャッジで、各ジャンプやジブアイテムに取り付けられたカメラからの映像を審査員が見て採点します。
  • コース内に設置されたジャンプ台を飛ばなかったり、ジブアイテムを使わなかったりすると減点になります。

スタートからゴールまでの流れ

上記の写真では見づらいですが、コースは6つのセクション(区別)に分かれており、各セクションごとにアイテムやジャンプ台が複数用意してあり、それぞれ自由に選択をする事ができます。

スタートを切ったらレールやボックスなどのジブセクション、ジャンプ台などのジャンプセクションで休む事なく連続で演技を行います。

また、上述したように【技の難易度】【着地の綺麗さ】【独創性】【全体の流れ】の観点から採点が行われるため、1つひとつのセクションでの演技に非常に完成度が求められます。控えめな技をして、流れるようにし無難にゴールしても得点は期待できず、かといって1つのセクションで大技をする事は転倒する可能性が飛躍し、全体の流れを止めてしまうことにも繋がります。

そんな駆け引きがこの種目の楽しみの1つですが、やはりどの競技にもそんな駆け引きをものともしないスーパースター達が存在します。

オリンピックを見る前に、覚えておきたい注目選手

男子

マーク・マクモリス

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カナダのスノーボード選手で、前回のソチオリンピックでは肋骨にヒビが入ったままスロープスタイルに出場し銅メダル。

マーカス・クリーブランド

18歳ながら数々の成功を収めているノルウェーの神童。
X GAMES ASPEN 2017では初出場にかかわらず、スロープスタイルで優勝。

女子

鬼塚雅(おにつか みやび)

2017年 – スノーボード世界選手権 3位 スロープスタイル
平昌オリンピックではスロープスタイルとビッグエアの2種目で出場予定。

アンナ・ガッサー

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オーストリア出身の25歳。
2017年ワールドカップのシーズン王者。
スロープスタイル最重要タイトル【Burton US Open】で金。

ジェイミー・アンダーソン

アメリカ出身で、前回のソチオリンピックのスロープスタイルで金。
X Gamesでは13個の金メダル

技(トリック)の基本

トリックを紹介している良質な記事があったため、下記2サイトの解説を引用させていただきます。

参照記事
スキースロープスタイルの説明 | アークコミュニケーションズ

スキースロープスタイルの説明 | アークコミュニケーションズ

よくスポーツ中継で長いトリック名を耳にすることがありますが、トリック名は基本的に5つの要素に分解することができ、それらは技の動きを表しています。
ここでは2つのトリックを例に説明します。

レギュラー・レフトサイド・ダブルコーク・1260・ミュートグラブ

  • レギュラー:前向きからジャンプ台を飛ぶこと
  • レフトサイド:左回転
  • ダブルコーク:回転軸の名前。縦方向に2回転する軸
  • 1260(トゥエルヴ・シックスティ):縦方向と横方向を合わせた回転数。1260度(3回転半)
  • ミュートグラブ:板を掴む動作の1つ。ミュートグラブは右手で左板の前方外側を掴む、又はその逆

※ グラブは掴む場所によって名前が変わり、スタイル(独創性)を決める大きな要素の1つです。

スイッチ・ライトサイド・ミスティー・1080・ジャパングラブ

  • スイッチ:後向きからジャンプ台を飛ぶこと
  • ライトサイド:右回転
  • ミスティー:回転軸の名前。身体を前方向へ投げ出すような軸
  • 1080(テン・エイティ):回転数。1080度(3回転)
  • ジャパングラブ:ジャパングラブは右手で左板中央の内側を後方から掴む、又はその逆

スキースロープスタイルは、レフトサイド(左回転)、ライトサイド(右回転)、スイッチ(後向き)などの様々な要素を組み合わせたトリックが飛び交う、エキサイティングな競技です。
ハーフパイプやスノーボードスロープスタイルも同様に、技の名前がつけられています。

スノーボード:スロープスタイルトリックを理解しよう! | Snow

参照記事
スノーボード:スロープスタイルトリックを理解しよう!

スロープスタイル(及びハーフパイプ)のトリックは以下の3つの要素で構成されている。

  • 1:スタンス(レギュラー / スイッチ)及び回転方向(フロントサイド / バックサイド)
  • 2:グラブ
  • 3:回転数・回転軸(水平・垂直・両方)

そして、便宜上、この3要素の特定の組み合わせにはユニークなトリック名が与えられており、通常は、その組み合わせを初メイクしたライダーの名前が冠されている。

たとえば、ハーフパイプでバックサイド・540にミュートグラブを加えたトリックは、レジェンドプロスケーターのマイク・マックギルが初メイクしたため、“マック”ツイストと呼ばれている。

ジェイミー・アンダーソン

トリック:ギャップ・トゥ・フロントサイド・ボードスライド


ジェイミー・アンダーソン(ギャップ・トゥー・フロントサイドバックスライド) © BURTON

フロントサイド・ボードスライドはクラシックトリックのひとつだ。
上のGIFのジェイミー・アンダーソンは、「レールに対して90°を保っている」、「レールを十分に使用している」・「レールから綺麗に飛び出している」の3点が得点の対象になっている。また、「レールから距離を稼いで着地している」(ギャップ)も得点の対象になっている。

あとがき

以上、初心者のためのスロープスタイルの解説でした。
他のオリンピック種目よりも歴史が浅いですが、1つひとつ技を行うときのスリルさは手に汗を握ること間違いなし!見た目も華やかで非常にエキサイティングな種目です!
ぜひ記事を通して知識を付け、平昌オリンピックを観戦しましょう!