前回アルペンスキーの醍醐味を聞いたお嬢は、ついにアルペンスキーに興味を持ち、
本屋でアルペンスキーについて調べることに。しかし、なかなかアルペンスキーの本が見当たらないところへやつが現れました。
- 参照記事
- 女「アルペンスキーってなにが楽しいの?」

「あれっ、お嬢」

「なにしてるのよ」

「いや、それはこっちのセリフ」

「あんたが本屋に来るなんて珍しいこともあるのね」

「なんか、トゲのある言い方だなあ…
まあ、そんなに来ないけどさ」
まあ、そんなに来ないけどさ」

「私は、あんたの話を聞いて、スキーの本でも探そうと思ってきたの」

「ああ、じゃあ、これかな」

「もしくは」

「あ、ありがと」

「…」

「…」

「…ん?」

「どした?」

「アルペンのページはどこにあるのよ?」

「あー、あんまり無いんだよね、アルペンの記事って」

「なぜ?」

「技術選ってやつの記事が主だからね」

「ふーん、まあいいわ。また、話聞かせてよ」

「おう、せっかく会ったことだしアルペンスキーの魅力について話すとするか」

「あなたがあんまり嬉しそうに話すから、聞いてあげることにしてるの」

「いやオレは、お前が聞いてくるから…」

「いいから」

「まあ、いいか」
②遠心力と内傾角

「アルペンスキーはスタートからゴールまで連続でターンしていく競技だ」

「ターンをする訳だから、もちろん遠心力が掛かる」

「車でカーブを曲がるときに外側に引っ張られるあれね?」

「まあ、そういうこと。
アルペンスキーは、種目やコース状況によるけど、1Gから最大で3G以上の遠心力が掛かると言われている」
アルペンスキーは、種目やコース状況によるけど、1Gから最大で3G以上の遠心力が掛かると言われている」

「いちじーからさんじー?」

「1Gが通常の重力だ。オレなら体重が75㎏の状態、お嬢なら恐らく、ごjy」

(殴る)

「なぜっ…!」

(殴る)

「わかった!すまなかった!」

「いいから続けなさい」

「はい…
そんで、2Gが普段の重力の2倍の状態。オレなら、体重が75㎏になるから、さらに75㎏の負荷が加わって、合計で150kgの負荷がかかっている。」
そんで、2Gが普段の重力の2倍の状態。オレなら、体重が75㎏になるから、さらに75㎏の負荷が加わって、合計で150kgの負荷がかかっている。」

「2Gの遠心力が掛かってるってのは、自分の体重と同じくらいの力で外に引っ張られてるってイメージかな」

「ふーん」

「高速系の種目は大きなGが掛かるし、技術系の種目はGの掛かる回数が多くなる。いずれにしても、エキサイティングな展開だ」

「体への負荷がすごいのね、でもなんでそれがエキサイティングに繋がるの?」

「ふっふっふ。ここからが肝心よ。この遠心力に対抗するのが、アルペンレーサーの内傾角さ!」

「なにこれ、雪上じゃなくない?」

「サマーゲレンデってやつだな。今、夏だし」

「ふーん、暑いのによくやるわね」

「スキーヤーの情熱は計り知れないんだぜ」

「まあ、見たらわかると思うけど内側に傾いてるだろ?」

「そうね」

「低速のサマーゲレンデでも遠心力は掛かるから、外に引っ張られる分、内側に傾くのさ」

「そうやって、カーブを曲がるってことね?」

「まあ、アルペンではターンをするっていうんだけどね。」

「これが、雪上になると」

「ここまで来る」

「手が地面に届いちゃってるわね」

「マシンを使わずにここまでの内傾角が出るスポーツは他には無い」

「…」

「バイクや自転車は激しく内傾角を作ってカーブを曲がっていくけど、あくまでマシンを傾けて曲がっていくものだ」

「自分の足を雪面に触れさせた状態で、自分の体を傾けて曲がっていくなんてアルペンスキーだけさ!」

「しかも、常に連続ターン!
連続で降りかかってくるGを、足下のスキーと自分の体だけでコントロールしていくなんて!」
連続で降りかかってくるGを、足下のスキーと自分の体だけでコントロールしていくなんて!」

「何よりもエキサイティングなスポーツじゃないか!」ウオオーーーー

「わ、わかったわ…分かったから落ち着きなさいおのれ」

「ああ、ごめんごめん」

「体1つでこんなに傾けるスポーツは他に無いってことね」

「そうそう、自転車でスピードを出してカーブを曲がる以上の傾きが自分の体だけで出せるんだ。これは病みつきですよ」

「ふーん、なんだか私も体験してみたくなってきた」

「それなら…」

「あっ!いけない、もうこんな時間!?じゃあねおのれ!」

「えっ…」

タタタタタタタッ

「まあ、いいか。今度あそこにつれてってあげよっと」