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初心者のためのノルディック複合解説!

ヨーロッパではこの種目の王者を【King of Ski】と呼びます。
別名ノルディックスキー・コンバインドと呼ばれるこの種目は、あらゆるスキーの先祖となるノルディックスキーをベースにしたクロスカントリー競技とジャンプ競技を合わせた種目となります。
今回は平昌オリンピックを観戦する上で知っておきたい知識を初心者向けに解説していきたいと思います!

ノルディック複合とはそもそもどんな競技なの?

クロスカントリー競技 + スキージャンプ競技

Fabian
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冒頭で説明したように、ノルディック複合(ノルディックスキー・コンバインドもしくはコンバインド)とは、

クロスカントリー競技 + スキージャンプ競技

を合わせた種目となります。

本来ノルディックスキーというのは、ジャンプ、クロスカントリー両方を指します。

そして、ノルディックスキーを競技として細かく枝分かれをさせたものがクロスカントリー競技やスキージャンプ競技です。

その枝分かれした競技を再度くっつけたものがノルディック複合競技という訳です。

競技としてノルディック複合、クロスカントリー競技、スキージャンプ競技のどれが最初に世の中に出てきたのかという資料は見当たりませんでしたが、どの種目も1924年フランスのシャモニー・モンブランで開催された第一回冬季オリンピックからの競技種目で、非常に歴史の長い冬季競技ということになります。

競技の流れ

近年のオリンピックやW杯などでは、

ジャンプ競技 → クロスカントリー競技

の順番で競技が行われることが一般的です。
順番によって名称が異なり、下記の通りです。

グンダーセン方式 ジャンプ競技 → クロスカントリー競技
マススタート方式 クロスカントリー競技 → ジャンプ競技

1990年代に荻原健司選手が現役の頃は前半のジャンプ競技で優位に立ち、後半のクロスカントリー競技で逃げ切る必勝パターンがありましたが、現在はルール改定が行われて前半のジャンプのポイント比重が下がったことから、この戦術は必勝という訳にもいかなくなりました。

ルール改定が行われてからはクロスカントリー競技、ジャンプ競技ともに優れた成績を出さなければ優勝もしくはメダルを取ることができず、しばらくの間日本チームはメダルから遠ざかっていました。

そんな中、日本の中でもルール改定に適応した渡部暁斗選手のような選手がでてくるようになり、しばらくの間低迷した日本チームも平昌オリンピックで金メダルを狙える位置にまでくるようになります。

ノルディック複合の歴史

ノルディックスキーとスキーの誕生は同じくらいかなとおおよその検討はつけていましたが、どうやら、いまから5000年〜1万年前には板を履いて雪道を移動するということはすでに存在していたようです。

アルタイ山脈では、古代の人々がスキーをする姿を描いた岩絵がいくつか見つかっており、なかにはスキーを履いて野生のヤギを狩る人間の絵までもがあるようです。

しかし、流石にこれをノルディックスキーとして認めることはできませんので、850年頃〜1740年頃にノルウェーでスキー部隊が発足した時にノルディックスキーが誕生したのではないかと思います。

競技としてのノルディック複合誕生についてもはっきりとした記録が残っていないため何とも言えませんが、1769年にノルウェーで競技会が開催されておりますので、一旦これをノルディック複合の誕生としたいと思います。(※他の有力な説があれば随時修正予定)

そして、1870~1880年代にノルウェーのテレマーク地方で、かかとがビンディングから外れるテレマークタイプのスキーが誕生しました。アルペンスキーを除く、現在のスキー板の原型となります。

ちなみに、ノルディック複合発祥の地のノルウェーにはこの種目の原型のような史話があります。

『戦乱が続いた1200年代初頭、反国王一派が2歳の王子を奪おうとしたとき、「白樺の足」というニックネームをもつ二人の戦士が、吹雪の野山をスキーで走り、谷を飛び越え、王子を守り抜いたという。』

ノルディック複合のルール

前述したように、近年のオリンピックやW杯などではジャンプ競技→クロスカントリー競技の順番で競技が行われます。これを【グンダーセン方式】と言います。

競技全体の流れ

前半のスキージャンプの成績に従って、後半のクロスカントリーを時間差でスタートさせ、追い抜き方式で争います。後半のクロスカントリーでは初心者の方でも一目でわかりやすく先にゴールした人が優勝となります。

スキージャンプのルール

スキージャンプのルールと同じように、

飛距離点 + 飛型点

で出したポイントによって順位を決めます。
個人ではノーマルヒル、ラージヒルがありますが、団体ではラージヒルのみとなります。

参照記事
初心者のためのスキージャンプ解説!

クロスカントリーのルール

スキージャンプで出したポイントを秒数に変換します。
そして、スキージャンプの成績順(首位→最下位)に、タイム差をつけてクロスカントリーをスタートさせます。

個人戦(5・10・15km) 15pt=1分
団体戦(4人×5km) 45pt=1分

また、走行距離は個人戦、団体戦によって異なります。

ノルディック複合の種目は全部で3つ

個人ノーマルヒル

  • ノーマルヒルジャンプ
  • クロスカントリー(10km)

個人ラージヒル

  • ラージヒルジャンプ
  • クロスカントリー(10km)

団体(4人1組)

  • ラージヒルジャンプ1人1本
  • クロスカントリー1人(5km)

平昌オリンピック最大の金メダル候補

ノルディック複合は1992年のアルベールビル、1994年のリレハンメルと、日本は2大会連続で金メダルを獲得しました。その後の世界選手権でも、93、95年に団体で金メダル、93、97年に個人で荻原健司が金メダルを獲得しました。

しかし、前述したように、前半のジャンプで優位に立ち、後半のクロスカントリーで逃げ切る必勝パターンで勝ち続けてきた日本もルール改定後はメダルからしばらく離れる機会がありました。

けれども、ようやく日本にもジャンプ競技、クロスカントリー競技ともに成績を出せる選手が揃い、今回の平昌オリンピックへと続く直近のW杯では渡部暁斗選手が4連勝とこの上ない状態でオリンピックに望みます。

平昌特有の強い風に影響されないかが非常に心配ですが、どんな状況でも安定した成績を残すことのできる渡部選手には期待せずにはいられないです。

ぜひ皆さんで、一番の金メダル候補を応援しましょう!!

あとがき

実は渡部暁斗選手、弟の渡部善斗選手はスノーハウス筆者の中学、高校の先輩後輩で自分と同じスキー部所属でした。当時高校1年生の自分が大会に回っている時に「暁斗さんがトリノオリンピック出るって!!」と周りがざわついていた時、自分もいつかはその立場に行きたいと思っていました。(その一年後に晴れ晴れした気持ちで引退しましたが(笑))

いまでは片方は国民を代表するスーパースターでオリンピックで戦っており、片方は完全に一般人として応援する側になっています。(笑) しかし、そんなスーパースターが身近にいたんだなと思うと、改めて自分がどれだけ凄い環境にいたのかと思います。

日本代表は全員応援していますが、渡部兄弟には同じ母校出身者として特別に100倍な気持ちで応援したいと思います。